土間施工Q&A FAQ
04 トロウエル(機械コテ)運転方法について
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ドマ坊
前回トロウエルを使用した場合、表面強度はUPするが、不陸を作りやすいって話したね。
トロウエルの運転技術でも差があるの? -
コバ爺
いい質問だね。コバ爺の持論だから反論はあると思うけど話すね。
トロウエルは重心移動で前後左右に移動すると話した。動力エンジンから縦の軸を介して、下方に装着した4本のフレームがあり、先端に約40㎝の鏝が装着されてる。それが右回転(時計方向)しながら、土間表面を押さえ込んでいく構造です。
右回転だから手に持っているハンドルを少し上げるだけで、左方向には比較的スムーズに移動してくれる。が反対の右方向に移動させる場合、ハンドルを下方に強く押さえ込まないと右方法にはトロウエルは移動してくれない。
エンジンの振動があり、約90㎏のトロウエルをテコの原理で力任せに左右に移動させたら表面がまだやわい状態の水平レベルは、凸凹を作ってしまうのは理解できるよね。 -
ドマ坊
この前の不陸のところで聞いたことだね。
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コバ爺
そうだね。
トロウエル掛けは基本的に円盤プレート掛けから始まって、最終の金鏝仕上げまで約10回程度、間隔を於いてトロウエル掛けをおこなうと思う。 -
ドマ坊
えっ、そんなに何回もトロウエル掛けを行うの?
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コバ爺
季節や条件(屋内外、生コンの成分等)によって多少異なるけど基本的にはね。
最初は円盤掛けからスタートで、コンクリート表面がアルミゲタを履いて、1~2㎜程度沈む硬さになったら、トロウエルにスチール製の円盤(円形でうすい鉄板)を装着して使用、円盤掛けから、最終金鏝仕上げまで時間の間隔を於いて9回、トロウエル掛けを行ったとする。
1~3・4~6・7~9と時間を分けて1~3を初期、4~6を中期、7から9を仕上げ期とした場合初期の段階でのトロウエル掛けは、コンクリート表面がまだやわい為、低速、低回転、で左方向へ円を描くように運転したほうがいい。
ハンドルに上下の必要外の加圧を加えてはいけない。 -
ドマ坊
むずかしいけど、初期段階で左方向へ運転するのは、右方向への移動は鏝への負荷が大きいから?
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コバ爺
そうだよ。
トロウエルは右回転だから左方向へは比較的にスムーズに運転できるって話したね。
でも右方向への移動は、ハンドルに下方への強い加圧が必要で、その結果、手前を通過する鏝に大きな加圧が加わり、表面を削り取っていく。
特に表面がまだ軟い初期の状態ではそれが大きい。 -
ドマ坊
なるほど、だから下地がまだやわい初期段階でのトロウエル掛けは、右方向への移動はひかえるべきということだね。
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コバ爺
そういうことだね。
せっかくみんなで±0を目標に真っ平に均した土間を、なにも考えないで高回転で力任せに運転してる人は、まっ平な土間をトロウエルで凸凹にしてるわけだ。
特に円盤プレートはすり鉢状で、全面が表面に接地するため、鏝を装着時の何倍もハンドルに負荷が加わる。
低回転では円盤の摩擦抵抗が大きくて回転しないため、高回転で運転せざる得ない。
すり鉢状の円盤プレートは中心から外にペーストをかきちらし、また右移動の場合、ハンドルが折れるばかりに押さえ込んで、手前のコンクリート表面を削り取っていく。
特に円盤を装着しての運転は、かならず左方向だけにすべきだと思う。 -
ドマ坊
トロウエル掛けってむずかしいんだね。
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コバ爺
操作はむずかしくはないけど重要。
均し以外の作業工程では、トロウエル掛けが一番大事と思う。
車の免許を取ったばかりの初心者が、スピードウエイでのレースに出たら大事故間違いなしです。
ここでの事故とは凸凹、不陸のことです。
車の構造、特性、戦略、コースの特色、路面状況、気候、温度、車もトロウエルも運転は一緒。 -
ドマ坊
解りやすいね。(笑)。では右方向へ移動出来る運転のタイミングは?
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コバ爺
一概に決められないけど、基本履いてるアルミゲタをスポンジシューズに履き替えたころかな。
下地がまだやわい状態では、スポンジジューズは滑って危ない。スポンジシューズを履いてまったく滑らなくなった表面状態は、不陸も比較的出来にくくなってると思う。
でもこの状態でも、鏝の角度を起こし、高速回転でガンガン回す人は不陸つくりの名人と思う(笑) -
ドマ坊
やわい時、左方向への運転の意味が分かった気がする。
もっとわかりやすく説明できる? -
コバ爺
う~ん。
トロウエルの鏝に偏った力が加わると、ペーストを削って不陸が出来ると、話したね。
例えば、小さな池があって冬場、表面が凍ってるとします。
その氷の上をトロウエル掛けを行うとします。
その氷は、トロウエルの重さ、エンジンの振動、人の重量に、ギリギリ耐えられる状態。
少しの振動や上下の加圧を加えたら、氷は割れて機械共々水中に落ちるとします(笑)
10人の土間職人が挑戦した。が、ことごとく氷を割って機械と一緒に水中に落ちた。
無理かなと思っその時、最後の一人が池全部のトロウエル掛けを完遂した。
彼はどんな運転をしたか?
彼はトロウエルをスロー回転で左方向へ移動、池の外周を左方向へ、そーと円を描くように運転してる。
ハンドルに全く上下の負荷を加えず、自分も機械と一体になってそーと歩きながら、常に左へ左へと円を描くように行い、見事全面トロウエル掛けを完遂した。
彼は土間に不陸をほとんど作らない、トロウエル掛けの大名人だと思う。 -
ドマ坊
なんか奥が深い話だね。
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コバ爺
「トロウエルで不陸が、、」に異論ある人は、自分達の仕上げた土間を後日、検査してみましょう。
夜間、仕上がった土間に投光器を置いての検査や、長めの左官定木等でのチェック。
投光器の検査では、昼間はわからなかった狭い範囲での凸凹、左官定木では隙間がいっぱいできる。
これらは均し工程時に出来た凸凹じゃなく、トロウエルで作った凸凹だと、すぐわかると思う。 -
ドマ坊
騎乗式も同じで、不陸を作りやすいの?
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コバ爺
騎乗式は簡単に説明すると、歩行式を2台連結して、中心の椅子に座って運転するトロウエルです。
重量があって、運転手の体重も加算すると、軽量機でも約250㎏以上、重量機では1tにもなる。
だから投入タイミングは歩行式よりだいぶ表面が硬化してからになる。
2連で機械面積が広いのと、重さと、表面がある程度硬化してからの投入だから、投入タイミングを間違わなければ、不陸は出来にくいと思う。 -
ドマ坊
不陸の問題を考えたら、常に騎乗式で仕上げたら?
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コバ爺
そうだけど、いろいろと施工的な問題もある。
1)施工面積の少ない場所では運搬等にコストがかかる。
2)剥離の問題
3)2F以上のデッキプレートでは、重量機の振動を危惧して、使用禁止が多い。
4)仕上げに時間がかかる為、冬季には職人が使用したがらない。 -
ドマ坊
4)の理由を教えて?
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コバ爺
う~ん、たとえば実験的に歩行式トロウエルを使用して、金鏝仕上げを完了したとする。
その仕上がった直後に、騎乗式トロウエル掛けを行うと、簡単に表面が戻ってやわくなる。
重量があるために、表面が仕上がるまでの時間は、歩行式仕上げより、3時間以上違うと思うよ。
冬場はもっと時間がかかる。
温暖地の九州でも、冬場は騎乗式使用の仕上げでは、ほとんどが徹夜になることが多いよ。 -
ドマ坊
そんなに違うんだ。それだったら職人さんも使いたがらないね。
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コバ爺
一長一短あるんだね。(笑)