よくある質問 FAQ

03 表面剥離について
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ドマ坊
最近土間の表面剥離が多くて問題になってるって聞いたけど、コバ爺はどう思う?
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コバ爺
そうだね~、爺もよく聞くし、問い合わせも多いよ。
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ドマ坊
何が原因なの?
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コバ爺
むずかしい問題だね。いろんな理由が考えられると思うけど、持論としてのコバ爺の考えを話すね。
異論がある人もいると思うけど、コバ爺の長年の経験からの考えだから…。 -
ドマ坊
コバ爺の持論でいいから、話して。
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コバ爺
表面剥離が起こる原因は、
① 下地処理(レイタンス等の無害化、ブリージングの処理)
② トロウエル掛けのタイミングと時間差
③ 鏝の使い分け
が影響していることがあるんだ。 -
コバ爺
①下地処理(レイタンス等の未処理による剥離)
生コンにはレイタンスなどの不純物が表面に浮いてる場合が多いんだ。無色で見分けがつかないけど、これが害する場合があると思う。
生コンを均したまま、手を加えなかったら翌日は表面が白っぽくなり、手で触ると白い粉がいっぱい付着して、手が白くなるんだ。
これがレイタンス等だと思う。
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ドマ坊
その白い粉、レイタンスが悪さするなら、取ることは出来ないの?
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コバ爺
レイタンスだけを、特定して除去は出来ないんだ。
除去しようとして、スポンジや柔らかいゴム等で表面を掻きだしたら、仕上げに必要なセメントノロ、ペーストも一緒に除去され、表面強度のない、不具合な仕上がりになるんだ。
レイタンス層を無害化するためには、ある程度表面が乾いたら、全面を木鏝掛けやトロウエルの円盤掛けを丁寧に行って面で点在しているレイタンス層を、チリジリにして無害化する必要があると思う。
それらの作業を行わないで、最初からトロウエルのスチール鏝掛けを行うと、トロウエルの4枚の鏝で、表面を上から押さえ込み、レイタンス層を閉じ込め、ノロを上から塗り付ける傾向になると思う。
ここで注意する点は、円盤掛けのタイミングは、表面がある程度硬化した状態で行う。目安は、円盤掛けを行った後の表面がセメント色に近い色になれば、面で発生していたレイタンス層が、チリジリになって無害化された状態だと思う。
例で説明すると、スラブコン打設で、柱の中を均して、時間をおいて2回目の木鏝掛けを行う。けど、木鏝掛けのタイミングが早すぎたら
翌日、表面は真っ白くなり、白い粉を吹いてる。木鏝掛けを遅らせて行ったら、グレーに近い色になり、翌日の硬化後も同色で、白い粉は表面に付着していない。2回目の木鏝掛けのタイミングが、レイタンス処理には重要。円盤掛けのタイミングも同じと思うよ。 -
ドマ坊
下地処理でレイタンス処理はわかった気がするけど、ブリージングの処理って何?
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コバ爺
生コンは、配合は全く同じでも、業者によってブリージング(浮き水)が多い生コンと、少ない生コンがあるんだ。
骨材(砂、砕石)等が原因だと思うけど、ひどい生コンでは全面にびっしりブリージングがおき、トロウエル掛けのタイミングでも水が無くならない。
その為にスポンジ等の水かきを使ってブリージング水を除去する場合がある。
水を除去する場所まで、スポンジ等で移動、掻きだしてくると、表面が水洗みたいになり、骨材が分離し、砂が表面に浮いて、層を作る場合がある。
この砂の層を処理しないまま、トロウエル掛け、仕上げを行うと、確実に剥離が起きると思う。
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ドマ坊
②タイミングと時間差
円盤掛けのタイミングも問題なく、ブリージング水も出なかった生コンで、剥離が起きた場合は?
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コバ爺
タイミングと施工方法かも。
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ドマ坊
むずかしいけど教えて。
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コバ爺
剥離で多いのは、騎乗式トロウエルで最終仕上げまで、行った場合が多いと思う。
コバ爺が若い時は、仕上げを機械だけで行うなんて無かったんだ。
トロウエル掛けを時間をおいて、何回も行った後、仕上げは、ペーストが表面に少し残っていて、上履きスリッパで入って、足が沈まない硬さになったら、職人が手作業で、全面、金鏝掛けを行っていたんだ。
ペーストのある状態で鏝押えを行うと、滑らかに鏝が滑り、職人はスムーズに金鏝仕上げが出来たんだ。
ペーストを利用しての金鏝仕上げだから、表面剥離は、100%無かったと思うよ。
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ドマ坊
昔は剥離はなかったのに、機械仕上では、起きやすいってどういうこと?
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コバ爺
昔の仕上げはペーストが残ってる状態で金鏝掛けを行っていたと話したね。
コンクリートが硬化状態でも、表面にペーストがまだ残っていれば、重たい騎乗式でも、コンクリト表面に必要外の負荷を掛けないで、滑るように走り回れるんだ。
たとえば、仕上がってるコンクリート床の表面に、油(ペースト)を塗って、トロウエル掛けを行ったらどうなると思う。
表面を滑るように走り回り、トロウエルの鏝と、コンクリート表面に摩擦が起きず、表層部に必要外の負荷はかからないだろう。
ペーストにはそのような効果もある。
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ドマ坊
なるほど、ペーストの役割はわかった気がする。機械仕上ではなにが違うの?
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コバ爺
重複するけど、一般的な金鏝仕上げを説明するね。
均し工程、中間工程は省略して、一回目のトロウエル掛けから、時間をおいて5回~10回程度、トロウエル掛けを行う。
表面が上履きスリッパで歩いても、沈まない程度に硬化。
ペーストがまだ発生するタイミングでトロウエル掛けを行い、直後、表面のペーストを金鏝やフレスノで抑え込んで最終仕上げとすると話したね。
対して機械仕上は、途中までは一緒だけど、表面にペーストが全く無くなっても、連続的にトロウエル掛けを行う。
表面にペーストが無くなり、全く滑らない状態で、エンジンの振動と300㎏以上の重量が8枚の鏝に加わり、回転移動すると表層部や表面の組成が弱かったり、レイタンス層が処理できていなかった部分などは、剥離を起こす可能性があるかもしれないね。
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ドマ坊
それだったら、表層部に負荷を加えないために、ペーストが残ってる状態で、最終トロウエル掛けを行って、仕上げたら?
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コバ爺
それは無理。全面に機械コテの跡が残るし、トロウエルで仕上げ、時間をおいて鏡面仕上げを行ってもムラだらけのマダラ鏡面になり、剥離は起きなくても全面トロウエルの鏝跡が残って、美観は、、、?
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ドマ坊
なるほど、ペーストが無くなっても連続運転してるのは、仕上げ後の鏝跡を無くするためなんだ。
でもコバ爺の会社でも、ペーストが無くなった状態で、トロウエル掛けを行う場合があるんじゃないの? -
コバ爺
あるよ。
コバ爺の会社でも、仕様が鏡面仕上げだったり、何らかの理由で、コンクリートがムラ乾きして、仕上げ後、部分的に表面にコテ跡が残った場合などは、ペーストがない状態でもトロウエル掛けを行ってるね。
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ドマ坊
ペーストがない状態でトロウエル掛けを行ってるなら、コバ爺の会社も一緒じゃん?
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コバ爺
そう思うだろう。でも大きな違いがあるんだ。
我が社では、ペーストがある状態で全面を「ハンドマン」で金鏝仕上げを行うんだ。
そして表層部が組成、固まって落ち着くまで養生時間をおいて、その後、プラスチック鏝で全面を磨き上げるんだ。
金鏝機「ハンドマン」で金鏝仕上げを行うことで、時間をおいてもトロウエルの鏝跡が残らず、鏡面仕上げまで移行できるんだ。
この「時間をおく」と「金鏝で仕上げる」が重要だと思うよ。表面にペーストが無くなり、表層部が組成、固まって落着くまでは、養生時間として振動を与えたり、摩擦を起こしたりしないで、コンクリート表層部が「もういいよ~」って答えるまでは、時間をおく必要があると思う。
例えば、金鏝仕上げを行い、翌日だったら、騎乗式を連続運転しても絶対剥離は起きないと思うよ。
コンクリート表層部が組成中に、時間をまったくおかず、連続して振動や加圧を加えたら、部分的な剥離がおきる可能性があると思う。
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ドマ坊
③鏝の使い分け
なるほど、「時間をおく」の意味が少し解った気がする。ところでプラスティック鏝って何?
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コバ爺
トロウエルにはスチール製の鏝が装備してるんだけど、コンクリートは水分が無くなって、組成中はすごく熱を発するんだ。
トロウエルのスチール鏝を、コンクリート表面を高速回転で運転すると、熱を発生すると思う。
スチール鏝は熱に強く、強度も、コンクリート表面強度より強い。騎乗式の重量が8枚の鏝に加わり、回転方向に大きな負荷が表面に加わると思う。
対して、強化プラスティック鏝は熱に弱く、自身が擦り減りながら回転、研磨を行うので、必要以上にコンクリート表面に負荷を加えない。
我が社の比較実験では、歩行式トロウエルにスチール鏝とプラスティック鏝を交互に装着して、比較実験を行ったらプラスティック鏝はトロウエルのハンドルに掛かる負荷は、スチール鏝の約30%だった。
歩行式の比較であるから、騎乗式ならもっと大きいかも。
簡単に説明するとプラスティック鏝は、スチール鏝よりも摩擦による負荷が少なく職人さんなら経験があると思うけど、歩行式トロウエルにスチール鏝とプラ鏝を交互に装着、比較実験を行えば、プラ鏝は スチール鏝より圧倒的にハンドルに加わる負荷は少ない。
スチール鏝は表面を熱で鏝焼けを起こしながら、回転してると思うよ。
対して、プラ鏝は熱に弱いから、自身が溶けながら?摩耗しながら、コンクリート表面に必要以上の負荷をかけず、研磨作業が出来る。
我が社では最終仕上げは100%プラ鏝を使用してる。 -
ドマ坊
やっぱり騎乗式は使用しないほうがいいってことかな~?
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コバ爺
そうじゃないよ。騎乗式トロウエルを使用する場合も上記の3点を守ったら剥離は起きないと思うよ。
騎乗式トロウエルは大面積には必要な機械で、世界でも主流になってる。
我が社は、世界で初めて騎乗式を発明したMQ社(旧ホワイトマン社・アメリカ)と技術提携してたから、コバ爺は何回もアメリカのMQ本社や施工現場に見学に行ったんだ。
アメリカではペーストの有無に関係なく、騎乗式トロウエルで、最初から最終仕上げの鏡面仕上げまで、行ってて、表面剥離の問題は起きてないってメーカーも施工業者も言ってたね。
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ドマ坊
それじゃどうして日本では剥離が起きてるの。?
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コバ爺
アメリカで感じたのは生コンの質が違うような気がしたね。
アメリカは地震が少ないから、スランプの硬い、シンプルな生コンが多いと思った。
対して日本は世界でも有数の地震国だから、耐震性の高い建物が求められる。
RCの建物などは、梁、柱等に満遍なく生コンを注入させるために、流動性が重視され生コンに数種類の混和剤、薬品?が混入されて、打設時には比較的スランプの数値が高い生コンが多いと思う。
全体の強度には何も問題はなくても、実施行時の、薬品が表層部や表面に浮いた状態での影響等は、ほとんど検証されてないかもね。
生コンは同じ配合でも骨材に地域性があるから、人の顔が違うように、ほとんどが違う顔をしてる。
同じ施工法でも表面剥離が起きたり、エアー(仕上がり後の表面の膨れ)が発生したりする。
毎回生コンの癖を見抜いて、生コンと会話しながら仕上げる必要があると思うね。 -
コバ爺
to be continued...
続きをお楽しみに!